こんにちは。島根県浜田市にある「かずあきデンタルクリニック」です。
インビザラインで開咬(オープンバイト)は治せます。インビザラインは、歯を歯茎に押す動きや歯を傾斜させる動きが得意です。そのため、奥歯の高さを低くし、前歯を後方に移動させることで開咬を治せる確率が高まります。
今回は、インビザラインで開咬を治す方法や費用について解説します。
目次
開咬(オープンバイト)とは
開咬(オープンバイト)とは、奥歯は噛んでいても上下の前歯がお互いに接触せず、隙間ができる噛み合わせ異常のことです。噛む、話す、笑うといった基本的な口元の動きに影響を及ぼす可能性があります。
開咬の原因は、顔の骨の成長パターン、遺伝、または子ども時代の習慣などさまざまです。特に、子どものころの習慣は顎や歯の成長を妨げ、適切な噛み合わせができなくなることがあります。
開咬を改善するためには、歯科矯正や顎の手術などが必要です。
開咬の原因
開咬の原因は、遺伝による先天的な原因と、子どものころの癖や習慣による後天的な原因が挙げられます。
遺伝によるもの
開咬は、遺伝的要因によって発生する場合があります。生まれつき、顎の骨の形状が正常な噛み合わせと異なる形態になっている場合、開咬になる可能性があるのです。
一般的に、開咬は骨格の問題と関連しています。下顎角(エラの角度)が大きく開いている場合、あるいは後方に回転している場合、または上顎が通常よりも上方に位置している場合は、開咬を引き起こしやすいです。
さらに、成長過程での問題も開咬の発生に関係しています。たとえば、幼少期の成長過程で下顎骨の成長する方向が適切でなかったり下顎骨の成長が不十分だったりすると、開咬を引き起こす可能性があります。
指しゃぶり
長期にわたる指しゃぶりは、開咬の発生リスクを増大させることがあります。指しゃぶりにより指が上顎の歯の裏側に押し当てられ、持続的な圧力が加わるためです。この圧力は歯並びに影響を及ぼし、開咬を引き起こす可能性があります。
3〜4歳までの指しゃぶりは、一般的に幼児期の自然な行為とされ、ほとんどのケースでは問題にはなりません。
しかし、この行為を放置し続けると、指を吸う力により上顎の歯列が前方や上方に押し出される可能性があります。指しゃぶりによる歯列への圧力は、上顎と下顎の噛み合わせにズレを生じさせ、結果として開咬につながることがあります。
口呼吸
鼻炎、扁桃肥大、咽頭扁桃(アデノイド)肥大など、鼻呼吸が困難になる状況が続き、持続的に口呼吸になっている場合、開咬のリスクを高める可能性があります。口呼吸は、舌の位置が下がり(低位舌)、舌先が下の前歯に頻繁に接触する状態になります。
舌の先端は、上の前歯に接触している状態が正常です。舌が下顎に落ちている場合、食べ物を飲み込む際、舌が下の前歯を押しやすくなります。この前歯を押す圧力が歯並びに影響を及ぼし、開咬の発生リスクを増大させるのです。
口呼吸になっている場合は、鼻呼吸を意識する必要があります。鼻炎などで鼻呼吸ができない場合は、早めに治療を受けることが大切です。
舌の癖
舌の癖によって開咬になる場合もあります。たとえば、日常的に舌で前歯を押し出す癖や上下の歯の間に舌を挟む癖が挙げられるでしょう。
これらの舌の癖が原因で生じる圧力が、長時間にわたり歯にかかると、歯が前方に倒れやすくなります。前歯が前方に倒れると上下の前歯に隙間ができやすく、開咬になる可能性があります。
舌の癖は、早期に改善しなければ、開咬だけでなく出っ歯やすきっ歯など、さまざまな歯列異常や噛み合わせ異常を引き起こすため注意が必要です。
開咬を放置してしまうと
開咬を放置すると機能面で問題が発生し、口内だけでなく、胃腸など全身の健康にも影響を及ぼす可能性があります。
虫歯や歯周病になりやすい
開咬は口を閉じることができないため、口内の乾燥を引き起こします。口内の乾燥は、細菌が増殖しやすくなるため、虫歯や歯周病になるリスクが高まるのです。
口内が乾燥する原因には、唾液量の減少が関係しています。唾液の分泌は、口内の健康を保つために非常に重要です。唾液は口内を清潔に保ち、細菌の繁殖を防ぐ役割があるため、唾液の量が減少するとさまざまな問題を引き起こします。乾燥によって細菌が増えると、虫歯や歯周病だけでなく、口臭を引き起こす可能性も高まります。
発音に影響する
開咬は放置すると、滑舌や発音に影響を及ぼす可能性があります。開咬では上下の前歯が接触しないため隙間が生じるのです。話すときに隙間から息が漏れることがあり、はっきりと発音できなくなることがあります。
さらに、上下の歯の隙間が大きいと、舌が前方へ滑り出しやすい状態になります。結果、舌足らずな話し方を引き起こすことがあり、コミュニケーションに支障をきたすこともあるでしょう。
顎関節症になりやすい
開咬が放置されると、顎関節症のリスクが高まる可能性があります。開咬は、一部の歯だけで食べ物を噛んでしまうため不適切な噛み合わせが生じ、顎関節に過度な負担をかけるからです。
顎関節症は顎の関節部分の異常を指し、これによってさまざまな問題が引き起こされます。たとえば、口を大きく開けるのが困難になったり、噛むときに痛みを感じたり、顎から異音がするなどです。また、体調不良やストレスなどの不定愁訴も引き起こすことがあります。これらは日常生活に大きな影響を及ぼし、生活の質を著しく下げる可能性があります。
歯の寿命が短くなる
開咬を放置することで、歯の寿命を縮めるリスクが高まる場合があります。開咬の場合、前歯が接触しないため、食事の際は特定の歯のみで噛むことになります。通常、全体の歯に圧力が分散されるのに対して、開咬は特定の歯に異常な負担がかかるからです。
一部の歯に集中して負担がかかるため、ほかの歯と比べて割れたり欠けたりすることが多くなるなど、消耗が早くなります。結果、早期に歯を失う原因にもなるでしょう。
胃腸に負担がかかりやすい
開咬などの噛み合わせの異常は、胃腸の健康にも影響を及ぼす可能性があります。開咬により前歯がきちんと噛み合わないため、食べ物を適切に噛み砕くことが困難になります。十分にすりつぶさないまま飲み込むことで、食べ物の大きな塊が直接胃や腸に送られることになり、消化の過程で過度な負担をかけることになるのです。
食物の消化や吸収に時間がかかるようになり、胃や腸が長時間にわたって働き続けることになり、胃腸障害を引き起こす可能性が高まります。
インビザラインで開咬は治せる?
インビザラインで開咬は治せます。
インビザラインが効果的な理由の一つに「圧下」という技術を使用できることが挙げられます。
「圧下」は、歯を歯茎側に沈ませる動きのことで、ワイヤー矯正では困難な矯正方法です。インビザラインは、常に噛み合わせの面を覆うマウスピースを使用します。このマウスピースの厚みにより、歯に圧力をかけて「圧下」を実現するのです。
さらに、インビザラインは前歯を後方に移動させる動きにも優れています。開咬では前歯が開いている状態ですが、インビザラインを使うことにより、前歯をスムーズに舌側に引き込むことが可能になります。
インビザラインによる開咬の治療法
インビザラインによる開咬の治療法は、前歯を後方に傾斜させる方法と、奥歯の高さを低くする「圧下」の2種類の動きを利用して矯正する方法があります。
インビザラインは、開咬の治療において前歯の位置を調整することで効果を発揮します。
開咬の患者さまは、前歯が前方へ倒れてしまっているケースが多く見られます。そのため、治療の主な目標は前歯を内側に傾斜させることです。この動きを通じて前歯の位置が改善され、噛み合わせが改善されるのです。これにより、噛み合っていなかった前歯が噛み合うようになり、開咬の症状を改善することが可能です。
また、圧下で奥歯の高さを低くすることで、前歯の接触を実現します。
しかし、圧下は顎関節に過度な負荷をかけ、顎関節症のリスクを高める可能性があります。顎関節症の発症を避けるためには、前歯の位置調整が重要です。
インビザラインで開咬を治すためにかかる費用
インビザライン治療は自費診療のため、費用は歯科医院によって異なります。一般的にインビザラインで開咬を治す場合、治療費は70〜100万円程度が相場です。
しかし、患者さんの口腔内の状態によっては、さらに治療費用が増えることがあります。
たとえば、舌の癖などがある場合、インビザラインの治療と並行して筋機能療法も必要になることがあります。筋機能療法は、舌や口唇などの筋肉の動きを改善することで、悪い噛み合わせを修正する治療法です。筋機能療法が必要な場合、治療期間は長くなり、それに伴って費用も増加する可能性があります。
舌の癖を治さなければ、矯正して改善した噛み合わせが時間とともに元に戻ってしまう可能性が高いでしょう。そのため、全体的な治療費は、患者さんの口腔内の状態や必要な治療方法によって変わります。
まとめ
インビザラインで開咬は治せます。インビザラインは、歯を歯茎に押し込む動きや歯を傾斜させる動きが可能です。開咬の場合、奥歯の高さを低くし、上の前歯を後方に動かすことで、上下前歯の隙間を改善します。
しかし、重度の開咬の場合、インビザラインだけでは矯正が難しいこともあり、ワイヤー矯正との併用が必要です。また、骨格に問題がある場合は矯正装置だけでは改善が困難なため、外科手術が必要になる可能性があります。
開咬(オープンバイト)についてお悩みがある方は、島根県浜田市にあるかずあきデンタルクリニックにお気軽にご相談ください。