こどもの頃、不安や恐怖を感じながら歯科医院に行くと、優しい笑顔の歯科衛生士さんが励ましてくれた、という経験がある方は多いのではないでしょうか。歯科医院特有のにおいや機械音が苦手で歯科医院を嫌がるこどもに、常に笑顔で接して治療内容をわかりやすく説明し、治療がスムーズに進むように働きかけている姿を見て「歯科衛生士になりたい!」と思った方もいるでしょう。
今回は、歯科衛生士になるために必要な資格とスキルについて解説します。歯科衛生士になりたいと思っている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
歯科衛生士とは?
歯科衛生士とは、患者さまの口の中の健康を管理する医療専門職です。歯科衛生士は、国家資格が必要な職業です。
歯科医師の診療補助や歯科予防、保健指導などを行い、人々の口腔内の健康を守ります。具体的には、歯周病の予防や管理、歯垢や歯石除去といった歯のクリーニング、口腔内の清潔を保つための教育などを行います。
歯科衛生士の活躍の場は歯科医院だけに留まりません。高齢者施設や自宅訪問など、活躍の場は広がっています。
歯科衛生士が向いている方の特徴
どのような患者さまに対しても平等に対応できる方は、歯科衛生士に向いているでしょう。日々さまざまな患者さまの対応をするので、ご自身と性格が合わない患者さまもいるでしょう。
しかし、歯科衛生士として働く以上、患者さまの対応を差別化することは避けなければなりません。さまざまな性格の患者さまに分け隔てなく対応できる方は、歯科衛生士に向いています。
また、コミュニケーション能力が高い方も向いています。コミュニケーションは、信頼関係の構築や治療に必要な情報収集など、さまざまな場面で必要とされるでしょう。
コミュニケーションを取らなければ、患者さまとの良好な関係は保てません。患者さまを不安にさせないため、コミュニケーション能力が高い方ほど歯科衛生士に向いているといえます。
歯科衛生士の主な仕事内容
歯科衛生士の主な仕事内容は、以下のとおりです。
歯科予防処置
名前のとおり、口腔疾患を予防するために行う処置です。主に、虫歯や歯周病を予防するための処置を指します。
具体的には、歯科医師の指示のもと、器具を用いて歯垢や歯石の除去を行います。フッ素化合物の塗布を行う場合もあるでしょう。
虫歯や歯周病になる前の段階で、予防するための処置を行います。
歯科医師の診療補助
歯科医師が治療を行う際、指示に従って補助をします。器具の準備や治療中の介助だけでなく、歯科医師と患者さまがスムーズにコミュニケーションを取れるようにサポートすることもあるでしょう。
歯科保健指導
虫歯や歯周病は、生活習慣病とされています。虫歯や歯周病の原因となる生活習慣を改善できれば、予防できるのです。
そのため、歯磨きの仕方を指導する、歯の状態に合わせて生活習慣に関するアドバイスを行うなど、さまざまな指導を行います。適切に歯磨きできるようにサポートすることや、口腔疾患の発生・悪化を防げるような生活習慣に改善することも、歯科衛生士の重要な役割です。
歯科衛生士と歯科助手の違い
歯科衛生士は国家資格を持った医療従事者ですが、歯科助手は受付や事務作業、清掃などの雑務が主な仕事内容で、特別な資格は必要ありません。民間資格は数種類ありますが、取得しないと歯科助手として働けないというわけではないのです。
国家資格が必要な職業かどうかが、最も大きな違いでしょう。
歯科助手は国家資格などが必要な職業ではないため、仕事内容も異なります。歯科助手は、歯科医療行為は行えません。
そのため、上述した歯科衛生士の仕事内容には従事できないのです。
歯科衛生士になるために必要な資格とは?
歯科衛生士になるためには、歯科衛生士国家試験に合格し、国家資格を取得する必要があります。国家試験を受験するためにも条件があります。
専門学校や大学などで、必要なカリキュラムを修了しなければなりません。文部科学大臣や都道県知事が指定した歯科衛生士学校や歯科衛生士養成所を卒業していること、または卒業が見込まれることが、国家試験を受験するための条件です。
歯科衛生士の国家資格を取得し、働けるようになるまでには3〜 4年の期間を要するでしょう。歯科衛生士国家試験は、毎年3月初旬に実施されています。
歯科衛生士の国家試験の合格率
歯科衛生士国家試験の合格率は90%以上と高いです。難しい試験ではないといえるでしょう。
しかし、日々の勉強を怠っていれば、当然合格できません。合格率が高いからと油断せず、専門的な知識と技術をしっかりと学ぶことが重要です。
社会人でも歯科衛生士を目指せる?
社会人でも、歯科衛生士を目指すことは可能です。「手に職をつけたい」「安定した職業に就きたい」など理由はさまざまですが、事務職や営業職、販売員などの他職種から歯科衛生士を目指す方が増加しています。
一度社会人を経験しているからこそ、異なる視点から真剣に取り組む方も非常に多いです。夜間の課程を用意している歯科衛生士養成機関もあります。社会人だからと諦めず、歯科衛生士を目指しましょう。
歯科衛生士に必要なスキルとは?
歯科衛生士国家試験に合格すれば歯科衛生士になることが可能ですが、働き続けるうえで必要なスキルがあります。詳しくご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
コミュニケーション能力
患者さまの治療をスムーズに進めるために必要なスキルの一つが、コミュニケーション能力です。患者さまと円滑にコミュニケーションを取れれば、信頼関係を構築できるでしょう。よりよい治療を提供することにつながります。
知識と実践能力
歯科医療に関する知識を持ち、実践できる能力が必要とされます。知識と実践能力、どちらが欠けても歯科衛生士としては働けないでしょう。
すぐに身につくものでありませんが、経験を通して実践できる力を養ってください。
また、予防歯科に重点を置く歯科医師が増えてきているので、歯科衛生士も予防歯科に関する知識を得る必要があります。虫歯や歯周病などの口腔疾患の基本的な情報だけでなく、予防に関する知識の習得も求められるのです。
技術力
歯科衛生士は、フッ素塗布や歯のクリーニング(歯垢や歯石の除去)などを行います。患者さまの口腔内に適した処置を行うためには、高度な技術が必要になるでしょう。
レントゲン撮影の準備や、歯科器具の取り扱いなど、さまざまな場面において技術が求められます。知識などと同様にすぐに身につくものではありませんが、先輩の歯科衛生士の技術を見て学ぶ、シミュレーションをするなど、学び続けることが大切です。
向上心
歯科分野に限りませんが、医療は日々進歩しています。極端な例ですが、数年前に正しいとされていた治療法が、身体に悪影響を与える可能性があると判明する場合もあります。
そのため、歯科衛生士は常に最新の歯科医療知識を学び続ける必要があるでしょう。患者さまに適した歯科医療を提供するために、知識や技術を高める向上心が必要です。
チームワーク
歯科医療は、チームワークが重要です。歯科医師や関連する医療従事者と密なコミュニケーションや連携を図ることで、よりよい医療の提供が可能になります。
コミュニケーション能力と通ずる部分ではありますが、ほかの医療者と協力して患者さまの口腔内の健康を守ることが重要です。
適応力
歯科衛生士は、その場の状況に応じて臨機応変に対応できる能力が求められます。問題が発生した場合、どうすれば解決できるのか瞬時に判断し動ける能力を身につけましょう。
特に、患者さまの口腔内の状況は一人ひとり異なります。歯並びや噛み合わせはもちろん、口腔内のトラブルには生活習慣も影響するため、適した治療法・予防法は患者さまによって異なるでしょう。
予想外のことが起こっても、柔軟に対応できる力が重要です。
まとめ
今回は、歯科衛生士になるために必要な資格とスキルについて解説しました。
歯科衛生士は国家資格が必要な職業で、人々の口腔内の健康を守るために尽力しています。専門的な知識や技術、最新の歯科医療を学び続ける向上心が必要ですが、非常にやりがいのある仕事といえるでしょう。
現在、当院では歯科衛生士を募集しています。患者さまと誠実に向きあえる方や、歯科衛生士の仕事に興味がある方は、島根県浜田市にあるかずあきデンタルクリニックにお気軽にお問い合わせください。