こんにちは。島根県浜田市にある「かずあきデンタルクリニック」です。
インビザラインで正中のずれは治せます。
ただし、症例によってはワイヤー矯正や手術との併用が必要になる場合もあります。正中のずれは審美性に大きく影響するため、可能な限り真ん中に合わせたいと思う方も多いでしょう。
今回は、正中がずれる原因とインビザライン治療における治療期間と費用について解説します。
正中とは?
歯科でいう正中とは、歯を噛み合わせたときの上下の前歯の真ん中を指します。正面から見たときに、鼻筋と上下の前歯の真ん中が一直線につながっている状態が美しいとされています。
特に、上顎の正中が鼻筋とずれていると顔が歪んだ印象に見えます。人間の顔や体は左右対称と思われがちですが、完全に左右対称の方はほとんどいません。生まれつきの特性だけでなく、歩き方の癖や姿勢によって体のバランスは悪くなります。歯も同様で、噛み方の癖などがある場合は、左右の歯や顎のバランスが崩れやすくなります。
正中がずれる原因
正中がずれる原因は、先天的と後天的に分けられます。また、歯の生え方によるものと、顎の骨が非対称な場合の2パターンあります。正中がずれる原因は、以下の6つです。
歯の数が少ない
通常、永久歯は28本で、親知らずを含めると32本あります。先天性欠如歯といわれる、生まれつき歯の本数が1〜2本少ない方がいます。歯の本数が少ない場合、左右の生え方のバランスが崩れ、正中がずれやすくなります。また、歯の本数が少ないと歯茎にスペースが余ってしまうため、全体的に歯並びが悪くなる傾向があります。
歯の大きさが左右で異なる
左右の歯を比べて大きさが非対称の場合、均等に生えそろうことが難しいため、正中がずれる原因になります。左右の目の大きさが若干違うように、歯の大きさにも差が出ることがあります。例えば、片側だけに八重歯が生えている場合は左右でバランスが崩れるため、正中にずれが生じやすくなるのです。
噛み合わせが悪い
奥歯の噛み合わせが悪い場合も、正中がずれる原因の一つです。重度の出っ歯や受け口、歯の生える方向がバラバラな場合も、正中がずれやすくなります。
顎の骨のバランスが悪い
顎の骨は歯を支える土台となるため、顎の骨のバランスが悪いと歯並びにも影響します。上下の顎の骨が歪んでいると、歯の正中も中心からずれてしまいます。また、歯に対して顎のサイズが極端に大きかったり小さかったりすると、正中のずれが起きやすいです。
顎の骨は遺伝によるものが多いですが、次の項目で説明する日頃の癖でも顎の形が変形することがあります。顎が大きく歪んでいる場合、無理に正中を合わせてしまうと、かえって顔のバランスが崩れ、噛み合わせが悪くなるリスクがあります。顎の骨に問題がある場合は、歯科矯正だけでなく、骨格を調整する手術も必要になります。
日頃の癖によるもの
日頃の癖によって顎の骨がずれやすくなることがあります。以下の癖があてはまる方は注意が必要です。
・片側ばかりで噛む
・頬杖をつく
・いつも同じ側を下にして寝る
食事の際に左右どちらかに集中して噛んでいると、片側のみに負担がかかり顎のバランスが崩れやすくなります。頬杖をついたり、就寝時に同じ側ばかりを下にして寝ていたりすると、片側の顎に負担がかかり正中がずれる原因になります。
歯科矯正の影響
生まれつき歯が少ない方や抜歯した方などは、歯科矯正を受けても基本的に正中は合いません。歯科矯正は噛み合わせを重視することが多いので、奥歯に合わせることにより正中がずれる可能性があります。
正中のずれを放置することによるリスク
正中のずれは見た目に影響するだけでなく、さまざまなリスクがあります。以下に、正中のずれを放置することによるリスクについて説明します。
顔の歪みにつながる
正中のずれが2mm以上ある場合、顔の歪みが目立ちます。もともと顔が完全に左右非対称のかたは極めて少ないとお伝えしましたが、正中がずれていると、顔が左右非対称であることにくわえて歪みにつながることがあるのです。上下の前歯だけでなく鼻筋からも正中が大きくずれている場合は、顔の歪みが目立ち、見た目にも大きく影響します。
噛み合わせに問題が生じる
正中がずれていると、上下の歯が正常に噛み合っていないことが考えられます。噛み合わせが悪いと、食べ物をすりつぶすことが難しくなり、胃腸への負担が大きくなります。食べ物を十分に噛み砕かずに大きいまま飲み込むと、消化不良を起こすこともあるでしょう。
さらに、正中がずれていると前歯で噛む力が弱くなることがあります。奥歯ばかりを使うと負担が大きくなるため、歯の消耗が激しくなる可能性が考えられます。同じ歯を酷使していると、将来的に歯が欠けたり割れたりすることがあるので、咀嚼する際は全体の歯を均等に使うようにしましょう。
顎関節症の発症リスクが高くなる
顎が原因で正中がずれている場合は、顎に負担がかかりやすい状態のため、顎関節症を発症するリスクが高くなります。顎関節症を発症すると「口を大きく開けられない」「口を開けると痛い、音が鳴る」などの症状が現れます。また、重度の顎関節症になると手術が必要になる場合もあります。
インビザラインで正中のずれは治せる?
インビザラインで正中のずれは治せますが、歯の生え方が原因の場合に限ります。正中のずれが数mm以内なら許容範囲内とされています。顎の骨に問題がある場合は、インビザラインだけでの改善は難しいため、矯正にくわえて骨格改善の手術が必要です。また、正中のずれが重度で抜歯が必要になる場合は、インビザラインの適用は難しいでしょう。
正中のずれが軽度の場合はインビザラインで治療できますが、上記のようにすべての症例に対応しているわけではないので確認が必要です。歯そのものが曲がっていたり、正中だけでなく全体の歯並びが極端に悪かったりする場合は、ワイヤー矯正との併用が必要になる可能性があります。
インビザラインは、治療前にシミュレーション動画を作成して治療結果を予測します。ワイヤー矯正の場合は、実際に歯を動かしてみないと、どこまで正中を合わせることができるかが不明というデメリットがあります。一方、インビザラインであれば、シミュレーション動画によって、事前に正中のずれを治せるかどうかを知ることができます。また、一度のインビザライン治療で正中のずれを治せなかった場合でも、マウスピースを作り直して治療を継続することができます。
しかし、インビザラインで治療をしても正中がずれたままになる場合があるということに注意が必要です。正中が鼻筋から前歯の上下まで垂直になっている場合は審美性が高いですが、必ずしも「正中が真ん中であることが、噛み合わせがよいことである」とは限りません。噛み合わせを正しい位置に合わせたら、正中がまっすぐにそろわない場合もあります。インビザライン治療において、正中のずれがある場合はできる限り合わせるように治療を進めますが、真ん中でそろうようにすることで噛み合わせが悪化する場合は、噛み合わせのよさを優先することがほとんどです。
正中を合わせるためにインビザライン治療を受けたにもかかわらず、正中がずれたまま治療が終わってしまっては本末転倒です。このような事態を避けるには、治療前に歯科医師とのすり合わせが重要といえます。
インビザラインで正中のずれを治すためにかかる期間・費用
症例の度合いによって治療期間は異なりますが、約1〜2年でしょう。また、費用は自費診療のため歯科医院によって異なり、約800,000〜900,000円が相場です。
インビザライン治療の流れ
インビザライン治療は、以下の流れで行います。
- カウンセリング
- 検査
- 治療計画の作成
- 治療開始
カウンセリングは、治療内容の説明を受け、インビザラインで症状が改善されるかなど、治療に対する不安や疑問を解消するために行います。この時点で、歯科医師としっかり情報共有をしておかないと、希望していた治療効果が得られないなどのトラブルにつながります。
検査では、診断と治療計画を立てるために、レントゲンや顔写真の撮影や歯型の採取を行います。集めたデータをもとに治療計画を立てますが、インビザラインでは「クリンチェック」とよばれるソフトを使用し、シミュレーション動画を作成します。シミュレーションで予測された治療結果に納得がいけば治療を開始します。
インビザラインのマウスピースはアメリカで製作されるため、届くまでに約1か月かかります。インビザラインは、治療段階によってマウスピースを使い分け、1〜2週間で新しいマウスピースに交換する必要があるので、定期的な通院が必要です。
まとめ
症例によってはインビザラインで正中のずれを治せますが、歯科矯正は、審美性だけでなく噛み合わせも考慮しなければいけないため、正中がずれたままになることもあります。インビザライン治療は治療期間が長く費用も高額になるため、納得した治療ができるよう事前に歯科医師としっかりコミュニケーションを図ることが大切です。
インビザラインを検討している方や疑問がある方は、島根県の歯医者「かずあきデンタルクリニック」にお気軽にご相談ください。