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インビザラインでブラックトライアングルができる?リスクと対処法!

2023年4月19日
右手でマウスピースをはめる女性

こんにちは。島根県浜田市にある「かずあきデンタルクリニック」です。

インビザラインなど歯列矯正を行うと「ブラックトライアングル」と呼ばれるすき間ができるケースがあります。歯並びを整えて美しい見た目を手に入れたい方にとって、すき間ができてしまうのは大きなデメリットといえるでしょう。

なぜブラックトライアングルが現れてしまうのか、またブラックトライアングルは治すことができるのか、インビザライン矯正中の方や検討中の方にとって気になる内容だと思います。

そこで今回は、ブラックトライアングルの概要と、インビザラインでブラックトライアングルができる原因や対処法について解説します。

ブラックトライアングルとは

歯を見せて笑っている女性の口元

「ブラックトライアングル」とは、歯と歯の間にできる三角形のすき間のことです。

歯は根元に近づくほど幅が狭くなり、歯の根元部分は隣接歯と触れ合うことなく離れています。通常、そのすき間を埋めるように歯茎が覆っているので、歯と歯の間にはすき間はみられません。ブラックトライアングルは何かしらの理由で、歯と歯のすき間を埋めていた歯茎が下がることが原因で現れます。

主な理由として挙げられるのが、加齢や歯周病で顎の骨が痩せてしまい、歯茎が下がってしまうケース、誤ったブラッシング方法で歯茎が傷付き薄くなってしまうケースです。歯周病や誤ったブラッシング法は、ご自身のケア次第で回避できるでしょう。

なお、ブラックトライアングルは臼歯部にも現れますが、主に前歯にできたすき間を指すことが多いです。

ブラックトライアングルがあることによって起こるリスク

肩をすくめ両手を左右に広げながら困った顔をしている女性

ブラックトライアングルがあることで、どのようなリスクが起こるのでしょうか。

結論から述べると、ブラックトライアングルが現れても歯や口内の健康や機能面に悪影響はありません。

しかし、ブラックトライアングルがあることで起こるリスクとして、以下の3点が挙げられます。

・審美性が悪い
・食べ物が挟まりやすく汚れが残りやすい
・発音に支障がでる

以下に解説していきます。

審美性が悪い

ブラックトライアングルは、審美面が劣ってしまうリスクがあります。

すき間が大きければ大きいほど審美性が劣ってしまうので、他人の目が気になってしまう方が多いでしょう。どの程度気にするかは個人差がありますが、健康面や機能面に悪影響はないので、気にしすぎないようにすることも大切です。

食べ物が挟まりやすく汚れが残りやすい

ブラックトライアングルは歯と歯の間にすき間ができるので、食べ物が詰まったり汚れが残ったりしやすくなります。

食べカスやプラークが残ったままになっていると、虫歯や歯周病の原因になり、さらに歯茎が下がってしまう悪循環が起こるリスクが高いです。ブラックトライアングルに汚れが残らないように、ブラッシング時には、デンタルフロスや糸ようじ・歯間ブラシで除去する習慣を付けましょう。

発音に支障がでる

ブラックトライアングルが大きい場合、発音に支障がでる可能性があります。

ブラックトライアングルのすき間から空気が漏れてしまい、正しい発音にならないことが原因です。特に「サ行」は前歯に空気を送り込んで発音するので、歯と歯の間に大きなすき間があると、うまく発音できません。歯と歯の間にすき間があると、サ行のほかにも、タ行やナ行なども影響を受けやすいといわれています。

インビザラインでブラックトライアングルができる?

ピンクのプラスチックケースにきちんとしまわれているマウスピース

ブラックトライアングルは、インビザラインをはじめ、歯列矯正を行った際にできるケースがあります。

しかし、インビザラインや歯列矯正を行うと必ずしもできるわけではありません。インビザラインでブラックトライアングルが現れる理由は、大きく2つあります。

・もともと顎の骨が少なかった
・歯周病が改善された

詳しく解説していきます。

もともと顎の骨が少なかった

歯並びが悪く歯が重なって生えている部分は、あごの骨が少なく不十分なケースが多いです。

インビザラインで歯並びを整えると、もともとあごの骨が少ない部分にも歯が並びます。あごの骨の位置にともなって歯茎の位置も変化するので、結果として歯茎が下がりブラックトライアングルが現れてしまうのです。

歯並びの状態からブラックトライアングルになるリスクは、ある程度予想できるので、気になる方は歯科医師に相談しましょう。

歯周病が改善された

歯並びが悪く慢性的な歯周病で歯茎が腫れているケースでは、インビザラインで歯並びを整えることでブラックトライアングルが現れてしまう可能性があります。

歯並びや噛み合わせが悪い部分は、ブラッシングが不十分になりやすく、磨き残しがあるケースが多いです。慢性的に磨き残しがある部分は、歯周病に罹患して歯茎が炎症を起こし、腫れてしまいます。

インビザラインで歯並び・噛み合わせを整えると、ブラッシングで簡単にプラークを除去できるようになるでしょう。口内が清潔になれば、歯周病は改善され歯茎の腫れが解消されます。結果として歯茎が下がるので、歯と歯の間にすき間が生じてブラックトライアングルが現れやすくなります。

インビザラインでブラックトライアングルができてしまったら

歯科の治療室で患者に歯の模型を使いながら説明する医師

ブラックトライアングルが一度できてしまうと、もとの状態にまで改善することはほぼありません。ブラックトライアングルは、あごの骨の減少が原因で現れます。一度減少してしまったあごの骨を回復させる治療法はないので、あごの骨が減少しないように気を付けることがブラックトライアングルを予防するポイントです。

インビザラインでブラックトライアングルにならないためには、インビザライン治療中のブラッシング方法も大切です。歯並びに合った適切なブラッシングを行って口内を清潔に保ち、歯周病を予防すれば、歯茎の炎症を抑えられます。

インビザラインでブラックトライアングルになるリスクは、歯周組織の状態やもともとの歯の乱れ方によって異なります。ブラックトライアングルにならないか不安がある方は、インビザライン治療前に口内を確認してもらい、歯周組織や歯並びの状態からリスクが高いのか、歯科医師にチェックしてもらいましょう。

万が一、インビザラインでブラックトライアングルが現れてしまった場合、以下の方法ですき間を目立ちにくくすることが可能です。

IPRを行う

IPRとは、歯と歯の間をわずかに削り、歯が動くスペースを確保する治療法です。通常、歯列矯正で歯が並ぶスペースが不足している際に適応されます。

IPRを利用して、歯と歯の間を削り歯列矯正で歯を寄せて整えれば、ブラックトライアングルが目立ちにくくなることが期待できるでしょう。

歯肉移植を行う

外科的処置が必要ですが、歯肉移植でブラックトライアングルを改善させる方法があります。

歯肉移植は、上あごの歯茎を採取して、ブラックトライアングルがある部分に移植する治療法です。歯茎を切り取った部位は自然に再生して、もとの状態に戻ります。歯茎を必要な分だけ移植するので、すき間が埋まり、美しい見た目を手に入れることができるでしょう。

ただし、歯肉移植を行っても、あごの骨の位置は少ないままなので、時間が経つと再びブラックトライアングルが現れるリスクがあります。

まとめ

歯科で口を大きく開けて治療を受けている女性

ブラックトライアングルは、歯と歯の間にできる三角形のすき間を指します。加齢や歯周病などであごの骨が痩せてしまうことが直接的な原因です。なかには、歯列矯正の影響でブラックトライアングルができる場合もあります。

ブラックトライアングルは、審美性が大きく失われるデメリットはありますが、健康面や機能面に問題はありません。審美性の悪さから改善を望む方が多いですが、一度できてしまったブラックトライアングルは、もとの状態に戻すことができません。そのため、ふだんからブラックトライアングルができないように予防していくことが重要です。

万が一、ブラックトライアングルができてしまい改善させたい場合は、IPR法や歯肉移植で目立ちにくくすることは可能です。インビザラインの影響でブラックトライアングルにならないか不安がある方は、歯科医院を受診して歯周組織や歯並び・噛み合わせを確認してもらい、リスクがどの程度あるのか判断してもらうとよいでしょう。

ブラックトライアングルについてお悩みがある方は、島根県浜田市にあるかずあきデンタルクリニックにお気軽にご相談ください。

インビザラインで使用する「チューイー」とは?使用のタイミングや使用方法について詳しく解説!

2023年2月15日
オレンジの背景に歯とたくさんのガムが置かれている

こんにちは。島根県浜田市にある「かずあきデンタルクリニック」です。

インビザラインの治療で使うチューイーとは、アライナーを歯に密着させるための補助具のことです。マウスピースが浮いていると治療が計画通りにすすまない可能性があるため、チューイーの使用は非常に重要といえます。

今回は、チューイーを使うタイミングや使用方法について詳しく解説します。

インビザラインで使用する「チューイー」とは?

インビザラインを脱着する人

チューイーとは、インビザラインの治療で用いるアライナーというマウスピースを装着するための補助具のことです。シリコン製で弾力があり、形はロール状になっています。使用しやすいようにチューイーに棒が付いているものや、ガムのような感覚で噛めるフレーバー付きのものもあり、種類は豊富です。

チューイーが治療費として含まれている場合はアライナーと一緒に渡されますが、治療費に含まれていない場合は別途自分で購入する必要があります。矯正歯科で購入できますが、インターネットでも販売されています。値段は1袋5本入りで500円程度です。

インビザラインは、歯にマウスピースがフィットしているかで治療効果が変わります。マウスピースが浮いてしまうと、歯に十分な力がかからず思い通りに動かせません。うまくはまっていないと、痛みが出ることもあります。インビザラインを計画通りにすすめ、治療の精度を上げるには、チューイーの使用が欠かせません。

チューイーを使用するメリット

カラフルな背景にMERITと書かれたブロックが置かれている

チューイーを使用するメリットは、以下のとおりです。

  • 治療の精度が上がる
  • 血行促進が期待できる

それぞれ詳しく解説します。

治療の精度が上がる

チューイーを噛むことにより、歯にマウスピースを最大限にフィットさせることができるため、効率的に歯を動かすことが可能になります。

マウスピースが浮いていると、歯に十分な圧力がかからず、治療の進行度が悪くなります。マウスピースを新しいものに取り替えた直後は20分以上噛む必要があるため、チューイーの使用を面倒に思うかもしれません。また、装着方法に慣れてくると手指だけで済ませたくなるでしょう。

しかし、治療の精度を上げるにはチューイーの使用が重要です。自分の感覚では歯にぴったりと張り付いているように感じていても、実際はマウスピースが浮いている場合があります。特に、歯の重なりが大きい症例やアタッチメントを使用している場合は、歯とマウスピースの間に隙間ができやすい傾向にあります。

チューイーは治療効果をよくする役割があるため、積極的に使用しましょう。

血行促進が期待できる

チューイーを噛むことで、歯の周辺組織の血行がよくなります。

歯科矯正は、顎の骨や歯茎の代謝に合わせて歯を動かしていくため、組織の代謝がいいと歯が動きやすくなります。噛む動作は顎の骨を刺激し、歯の周辺組織の血流をよくします。血行促進は代謝アップにつながるため、チューイーの使用により治療がスムーズにすすみやすくなるでしょう。

チューイーを使用するタイミング

砂時計とカレンダー

チューイーを使用するタイミングは、マウスピースを装着するときです。

新しいマウスピースに取り替えてすぐの頃は、歯列がマウスピースに馴染んでいないため隙間ができやすいです。インビザラインは治療段階に応じて1〜2週間ごとにマウスピースを新しいものに交換しますが、交換した直後のマウスピースには歯を動かすためのスペースが作られているので、手指だけでの装着には限界があります。また、アタッチメントが付いたアライナーは馴染みにくい性質があるため、マウスピースをはめる際はチューイーを使いましょう。

チューイーの使用方法

オレンジのシャツを着た女性が右上を見て口を指差している

チューイーは、前歯から奥歯にかけて順番に噛んでいくと、効果を最大限に引き出すことができます。以下に、詳しい手順を紹介します。

①マウスピースを両手の指ではめる

マウスピースの装着は「前歯→奥歯」が鉄則です。両手の親指と人差し指を使って、丁寧にはめていきます。指でマウスピースを押し込むように、歯に馴染ませていきましょう。

②前歯でチューイーを噛む

チューイーを噛むときも、前歯から奥歯にかけて噛んでいきます。噛みきるように、上下の前歯を使ってチューイーを噛んでください。

③奥歯に向かって横にずらしていく

前歯の部分が馴染んできたら、隣の歯にチューイーをずらしていきます。

アタッチメントを取り付けている場合や歯の重なりが大きい方は、歯とマウスピースの間に隙間ができやすいため、しっかり噛みこむようにしましょう。

④奥歯でチューイーを噛む

奥歯で噛むときはチューイーを2つ使用して、左右バランスよく噛みましょう。ガムを噛むようにチューイーを噛むと、歯にマウスピースが張り付くようにフィットします。

⑤歯にフィットしているか鏡で確認する

最後に、マウスピースが歯にぴったりと張り付いているか鏡でチェックしましょう。フィットしているように思えても、鏡で見ると浮いている場合があります。隙間が見られるようなら、もうしばらくチューイーを噛んでください。

チューイーを使用したにもかかわらず、マウスピースが大きく浮いている場合は、アライナーが歯列に合っていない可能性が考えられます。チューイーを使っても歯とマウスピースの隙間が埋まらない場合は、1つ前のマウスピースに戻して、医師に相談しましょう。

チューイーを使用するときの注意点

頬を手のひらで押さえて微笑んでいる長髪の女性

チューイーは、使用方法を誤るとかえってインビザラインの治療に支障をきたす恐れがあります。チューイーを使用するにあたっての注意点も把握しておきましょう。

左右バランスよく噛む

チューイーは、左右バランスよく噛まなければマウスピースの装着が乱れることがあるので、全体的にまんべんなく均等に噛むことが重要です。

インビザラインの治療では、マウスピースが奥歯にぴったりとはまっているほど治療の完成度がよくなります。奥歯の調和が弱いとスムーズに歯が動かない場合があるため、奥歯は念入りに噛むようにして、マウスピースを歯にしっかりと馴染ませましょう。

両方の歯で同時に1本のチューイーを噛むことが難しければ、2本使用しても構いません。

使用時間に注意する

チューイーの使用時間は、マウスピースを交換してからの経過日数によって異なります。

新しいマウスピースに取り替えてから数日間は特に浮きやすいため、就寝前などに20〜30分ほど噛むとぴったり歯にフィットさせることができます。数日経つと歯列がマウスピースに馴染んでくるため、使用時間を2〜3分程度に短縮してよいでしょう。

チューイーを噛む時間が長いと顎関節や筋肉を傷める可能性があるため、長時間の使用は避けましょう。

痛みや違和感が強い場合は医師に相談する

チューイーの使用によって歯が押される感覚があるかもしれませんが、歯の圧迫感はマウスピースがぴったりとはまっている証拠です。特に、新しいマウスピースを装着して初めのころは、歯列の馴染みが浅いため痛みを感じやすいでしょう。

歯の痛みが強い場合や不安な場合は、医師に相談するといいでしょう。

手入れをする

チューイーは一回ごとに捨てるわけではありません。使用後は水洗いして清潔に保ちましょう。

マウスピースと同様に、濡れたまま密閉して保管すると雑菌が繁殖する可能性があります。洗浄後は乾燥させることが大切です。また、マウスピースの専用ケースと一緒にチューイーを保管することで、装着時に忘れずに使用できるでしょう。

定期的に交換する

チューイーの弾力性が低下したり、うまく噛みこめなくなったりしたら、新しいものに交換しましょう。また、チューイーが裂けたり破損した際は使用を続けず、新しいものに交換してください。

チューイーは、平均的に10日ほどで弾力性がなくなってくるといわれています。アライナーの交換時期も1〜2週間なので、マウスピースを取り替えると同時にチューイーも新しいものに変えるといいでしょう。

チューイーを紛失してしまったときの代用品

青い背景に白いブロックと赤いブロックが置かれている

代用品は、チューイーほどの効果は得られず、マウスピースを傷つける危険性があります。代用品の使用は、すぐにチューイーを用意できない場合など緊急時のみにしましょう。

また、チューイーや代用品を使わず、アライナーをそのまま噛んで馴染ませようとすると破損につながるのでやめましょう。アライナーは非常に硬く、マウスピースが傷つくリスクが高いです。マウスピースは手指もしくはチューイーを使って装着しましょう。

タオル

厚みのあるタオルをチューイーの代わりに噛むことで、マウスピースを歯に馴染ませることができます。薄手のタオルしかない場合は、厚みが出るよう丸めて噛むといいでしょう。

ティッシュペーパーまたはキッチンペーパー

弾力性がないため大きな効果は得られませんが、ティッシュペーパーやキッチンペーパーもチューイーの代用品になりえます。厚みが出るように何枚か重ねてから折りたたむのがおすすめです。

ただし、ティッシュペーパーやキッチンペーパーは水分を吸収するとへたってしまうので、長時間の使用は厳しいでしょう。

ガーゼやティッシュペーパーを巻いた割り箸

割り箸は上記の代用品よりも噛み応えがあるため、より深く噛みこむことができるでしょう。

しかし、割り箸の素材によってはマウスピースが傷つく可能性があります。必ずガーゼやティッシュペーパーなどを巻きつけてから使用してください。

まとめ

インビザラインを脱着する笑顔の女性

チューイーの使用を面倒に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、インビザライン治療をスムーズにすすめるためには、使い方に注意しながらチューイーを継続的に使うことが大切です。チューイーは、マウスピースを歯にしっかりと馴染ませることができるため、インビザラインの治療精度が上がります。アライナーの保管ケースと一緒に管理することで、チューイーの使用を習慣化させることができるでしょう。

インビザラインやチューイーについてお悩みがある方は、島根県浜田市にあるかずあきデンタルクリニックにお気軽にご相談ください。

 

 

インビザラインの交換日数はどれくらい?交換後に起こりえるトラブルと対処法も解説!

2023年2月8日
青い服を着た髪の長い女性が顔を覆っている

こんにちは。島根県浜田市にある「かずあきデンタルクリニック」です。

インビザラインの交換日数は1〜2週間が一般的ですが、歯の状態や装着方法によって交換日数が変動することがあります。交換日数を延ばさないためには、指示通りにマウスピースを装着することが大切です。

この記事では、インビザラインの治療中に起こりうるトラブルや治療を計画通りにすすめるためのポイントについて解説します。

インビザライン治療の流れ

歯科医の治療器具

インビザライン治療を行う場合、開発元であるアメリカの会社を通してシミュレーション動画やマウスピースを作成する必要があり、すぐに治療を開始することはできません。

まず、インビザライン治療の流れについてご紹介します。

カウンセリング・問診

簡単に歯並びの状態を確認して、虫歯や歯周病などがないかチェックします。

虫歯や歯周病がある場合は、インビザラインを始める前に完治させなければなりません。インビザライン治療にあたって、抜歯や歯を削る必要があるかも確認します。治療中の痛みや治療費など不安や疑問がある場合はここで解決しておきましょう。おおよその治療方法や治療期間が決まります。

精密検査、シミュレーション

治療計画をたてるために、レントゲン撮影や口腔内の写真撮影などの精密検査をおこないます。スティック型のカメラで口腔内をスキャンするため、歯を型取る必要はありません。

撮影データは、アメリカにあるアライン・テクノロジー社に送られます。クリンチェックと呼ばれる3Dソフトを使用して、インビザラインのシミュレーション動画が作成されます。シミュレーション動画は治療結果も予測してくれるため、矯正後のイメージを確認することが可能です。治療に必要なマウスピースの枚数を割り出し、治療計画が決められます。

アライナー作成

シミュレーション動画では歯根部分の動きが再現されないため、矯正歯科の医師が治療計画を微調整して、アライン・テクノロジー社に提出します。

修正されたシミュレーション動画を参考に、アライナー(マウスピース)が作成されます。治療に必要なすべてのアライナーがアメリカから矯正歯科に一括で送られます。届くまでの期間は1か月〜1か月半ほどです。

治療開始

アライナーが届いたら、インビザライン開始です。

開始時にアライナーをまとめて渡すところもあれば、交換形式で渡すところもあり、矯正歯科によって対応は異なります。アライナーの装着方法を確認し、マウスピースの取り扱いや治療中の注意点などの説明を受けます。

インビザラインの交換日数

歯の模型の中に人間の模型がある

インビザライン治療の際、1つのアライナーで0.25㎜ほど歯を動かすことができます。1〜2週間で交換すると、歯の移動量は1か月1mm程度になるでしょう。

交換日数は、歯並びや年齢によって変わりますが、だいたい2週間で交換することが多いです。シミュレーション動画を参考にして治療をすすめていきますが、最終判断は担当医師が行います。「インビザラインの治療開始時は2週間くらいでアライナーを交換していたけれど、矯正の終盤ごろには動かす距離が短くなるため、交換日数が5日になった」というケースもあります。インビザラインの交換日数は歯列の状態に影響されるため、交換日数が長くなったり短くなったりと不規則になることもあるでしょう。

交換日数を決める3つの要素

レントゲン写真を見てテーブル越しに話す人

インビザラインの交換日数は、歯の動かし方や組織の代謝が影響します。交換日数を決める要素は、3つあります。ここでは、交換日数を決める要素とそれぞれの日数が長くなる場合と短くなる場合について、詳しく解説します。

歯並び

インビザラインの交換日数は、歯をどのように動かし、どの程度を動かすかで決まります。

歯科矯正は「傾斜移動」と「歯体移動」の2つの動きがあります。傾斜移動とは、出っ歯など斜めになっている歯をまっすぐにする動作です。歯根を移動させる必要がないため、交換日数は短くなる傾向があります。歯体移動とは、歯根を動かし歯を平行に移動させる方法です。歯がガタガタしている叢生(そうせい)・すきっ歯などは、歯を平行に動かす必要があるため、交換日数は長くなります。

マウスピース矯正は平行移動が苦手なため、ほかの矯正方法に比べて治療期間が長くなるでしょう。抜歯が必要であったり、歯の動かす距離が長かったりすると、インビザラインの交換日数は長くなる傾向にあります。

年齢

歯科矯正は、歯槽骨の吸収と再生のサイクル(リモデリング)に合わせて歯を動かします。代謝のスピードに合わせずに無理に力を加えると歯根や骨にダメージを与える場合があるので、歯は慎重に動かさなければなりません。

年齢を重ねると歯茎や骨の代謝が悪くなるため、歯を動かすのに時間がかかり、インビザラインの交換日数が長くなる場合が多いでしょう。新陳代謝がいい場合は歯槽骨のリモデリングも早く、インビザラインの交換日数が短くなる傾向があります。

アライナーの装着時間

アライナーの装着時間は、1日20〜22時間以上です。

しかし、指定された装着時間を満たしていない場合、交換日数が延びることがあります。アライナーの装着は、長ければ長いほど歯を動かす量が増えるため、交換日数は短くなります。交換日数を短くしたいのであれば、できる限りアライナーを長く装着しましょう。旅行などのイベントで装着時間が短くなる場合は、交換日数を一時的に長くすることをおすすめします。

治療開始から1か月程度は交換日数を長くして様子をみる場合があります。一日の平均装着時間を記録し、可能であれば交換日数を短くしていくという方法です。通院の際に装着状況を聞かれるため、正直に報告するようにしましょう。

インビザラインの交換後のトラブルと対処法

青い背景の前でインビザラインと矯正器具をはめた歯の模型を持っている

インビザラインを交換したあとに、マウスピースが合わなかったり痛みが生じたりなどのトラブルが起きる場合があります。トラブルの対処法も合わせてご紹介します。

マウスピースが入らない

マウスピースが入らない場合は、シミュレーションどおりに歯が動かなかったことが考えられます。

アライナーは、治療前のシミュレーション動画によって一括で作成されますが、計画通りに歯が動かなかったことにより、予定していたマウスピースが入らなくなることがあります。マウスピースが入らなくなった場合は再評価を行い(リファインメント)、アライナーを追加作成します。作成に1か月以上かかるため、治療期間が延びることは避けられません。

ほかに考えられる原因としては、マウスピースが不良品という場合です。不安を感じたら、すぐに医師に伝えましょう。

マウスピースが浮く

マウスピースが大きく浮く場合は、治療が順調にすすんでいない可能性が考えられます。

アライナーは、歯を動かす分のスペースはありますが、基本的に歯に密着している状態です。前歯はわずかに浮くことがあるので「奥歯が浮いていないか」が重要です。マウスピースが浮く場合は計画通りに歯が動いていない可能性があるため、直ちに医師に報告しましょう。

口の粘膜が痛い

マウスピースの端が鋭くなっていると、歯茎などの粘膜に触れることで痛みを感じることがあります。

矯正歯科にマウスピースを持参すれば滑らかになるよう調整してくれるので、痛みを感じるときは我慢せず医師に相談してください。ハサミややすりなどを使用してご自身で削ろうとすると、マウスピースが破損する危険性があるので絶対にやめましょう。

歯が痛い

インビザラインは圧力をかけて歯を動かすため、新しいマウスピースに交換した際に歯に痛みが生じることがあります。

歯の痛みは通常3日ほどで落ち着きます。痛みが強い場合や長引く場合は、マウスピースが合っていないなどの問題があるため、医師に報告しましょう。

インビザライン治療を計画通りにすすめるためのポイント

インビザライン治療を計画的にすすめるためには「指示を守ること」が重要です。指示が守れない場合は、治療が長引くだけでなく、インビザラインを中断しなければいけない場合もあります。

装着時間を守る

アライナーの装着時間は1日20〜22時間以上です。食事と歯磨き以外は、必ず装着しましょう。

装着時間が短いと治療が計画通りにすすまなくなり、後戻りするリスクもあります。後戻りした場合、インビザラインを作り直さなければいけない可能性もあり、治療期間が延びてしまいます。装着時間は長い分には問題ありませんが、短くならないように注意しましょう。

破損や紛失に注意する

マウスピースを破損・紛失してしまった場合は、作り直す必要があります。手元に届くまで1つ前のアライナーを使用しますが、この期間に後戻りする可能性もあり、治療が計画通りにすすみません。

外出中はティッシュなどに包んでしまうと誤って捨ててしまったり、そのままポケットやバッグなどに入れることで変形したりする恐れがあります。マウスピースは保管ケースに入れて、置き場所を決めておきましょう。

自己判断でマウスピースを交換しない

歯を早く移動させたいからといって、自己判断で交換日数を早めたり、数回分飛ばして装着したりするのは絶対にやめましょう。歯根や顎の骨に過度な負荷がかかり、損傷する恐れがあります。また、歯茎に負担がかかり、歯茎が下がってしまう可能性もあります。歯の周辺組織に問題が起きた場合、治療計画が大幅に乱れることになるでしょう。

また、インビザラインでは歯を移動させるスペースを作るために、やすりで歯と歯の間を少し削る「IPR(ストリッピング)」を行うことがあります。交換日数をご自身で調整すると、適切な時期にIPRができなくなり、治療精度が落ちてしまいます。新しいマウスピースを装着したときに痛みがなく「交換日数を早められるのでは」と疑問に思った場合は、自己判断せずに必ず医師に相談しましょう。

食事と歯磨きのときはマウスピースを外す

アライナーを装着した状態で硬い物を食べると、破損の危険性があります。また、歯垢が歯とマウスピースの間に溜まると、虫歯や歯周病のリスクが上がります。食事のときはマウスピースを外し、歯磨きをしてから装着しましょう。このときに、インビザラインも流水で洗い流すと衛生的です。汚れが気になるときは歯ブラシでやさしく磨きましょう。

ただし、マウスピースを傷つける原因になるので歯磨き粉の使用は厳禁です。

また、インビザラインの治療中は、水以外の飲み物は摂取しないよう注意しましょう。ジュースやコーヒーなどはマウスピースに着色してしまうので、インビザラインが目立ってしまいます。

管理を怠り、インビザライン中に虫歯などになった場合は、矯正を中断しなければなりません。虫歯治療により詰め物や被せ物を装着してしまったら、マウスピースが合わなくなる可能性があります。治療を計画通りにすすめるためには、マウスピースの管理を徹底しましょう。

チューイーを使用する

チューイーとは、マウスピースを歯にしっかりと密着させるために使用する器具です。素材はシリコンでできており、形はロール状になっています。

マウスピースは歯にフィットするようにできていますが、歯を移動させるためにわずかな隙間が作られています。特に、交換してすぐのときは、手指だけでは装着が難しい場合もあるでしょう。装着時にチューイーを使用することで、マウスピースが浮くことなく、密着させることができます。

装着がゆるいと治療が計画通りにすすまない可能性があるため、装着時にはチューイーを使用しましょう。方法は前歯から奥歯にかけて全体の歯で噛んでいきます。ガムを噛むように噛んでも構いません。

使用しなくなったマウスピースはどうする?

ピンクの服を着た女性がペンを持ち悩んでいる

以前に使用していたマウスピースを捨ててしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。

インビザラインの治療中にトラブルが発生したときに、以前に使用していたマウスピースを使うことがあります。マウスピースが入らないなどの問題が起きた場合は、来院まで1つ前のマウスピースを装着して過ごすことも多いです。万が一、マウスピースの作り直しが必要になったときも、一つ前のマウスピースを装着して期間をつなぎます。このように、使用しなくなったマウスピースを使う機会がまったくないとは言い切れません。捨てずに保管しておくことをおすすめします。

前のマウスピースを誤って使用しないように、使用中のマウスピースとケースを分けたり保管場所を変えたりするといいでしょう。

まとめ

資料を見ている3人の男女の歯科医師

インビザラインの交換日数は1〜2週間です。

ただし、歯の状態や装着方法によって交換日数が変動することがあります。インビザラインの交換日数を早めて矯正期間を短くしたい場合は、インビザラインの装着時間や管理方法を守り、チューイーを使用することが重要です。

インビザラインのトラブルでお困りの方は、島根県浜田市にあるかずあきデンタルクリニックにお気軽にご相談ください。